~ ニート問題 ~ ニートとイギリス
ニートは英語の「Not in Education,Employment or Training」の略です。
もともとはイギリスから日本に伝わった言葉で、社会から孤立する若者の増加が問題となっていたイギリスでは、政府のもとで社会的排除防止局が設立され、その報告書の中で使われていた言葉がニートでした。
現在のイギリスではニートの言葉の定義はあるものの、一般的にはほとんど使用されていません。ニートという言葉を使用しているのは日本だけです。
イギリスのニートの定義は日本の定義とは異なり16歳から19歳までの若者に絞られています。また休職中、育児中、家事手伝い、病気、ボランティア活動など、広い範囲で就労していない人を含んでいます。その数は約16万人と推定され、これは16歳から18歳の若者の9%から10%に相当します。
イギリスのニートには家庭が貧困であったり、ホームレスや両親がいないなどの劣悪な家庭環境であったり、体に障害を持っていたり、ドラッグやアルコールを乱用しているなど、さまざまな問題を抱えている若者が多くいます。また精神疾患や10代の妊娠の増加がニートの増加と関わっているという指摘もあります。さらにイギリスのニートは非白人や労働者階級に多いことから、イギリスの階級社会との関わりも考えられています。義務教育を終える16歳がニートになるかどうかの分かれ道であり、この段階でニートになった人はニートのまま大人になる人が多いというのが現実です。
日本では裕福な家庭や高学歴のニートが増えていることから、イギリスとは根本的に異なる対策が必要だと考えられています。
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近年、ニート問題がよく話題にのぼるようになってきました。
政府もニート問題を深刻な社会問題として受け止め、さまざまな政策を考案しています。
しかし若者の間では、「ニートがなぜいけないの?」という素朴な疑問を持つ人も多いようです。
昔の考え方では「学生は卒業したら働く」のが当然であり、それに疑問を持つ人はいませんでした。
「働かざるもの食うべからず」です。
医療や交通、学校、年金などは働く人の税金によって成り立っています。
誰しも生きていく上で、なんらかの社会から恩恵を受けているのです。
学校で学ぶべきことを学んだ後は、これまでに受けた恩恵を後世に引き継ぐために社会に貢献する・・・、こういう考え方が当然とされていたのです。
しかし時代は変わりました。
現代の若者はそのように考えない人も多いのです。
社会に出る意味について深く考えることもない、働く意欲も特にない・・・こういう人が増加してきています。
労働人口が減少するにつれ産業競争力は低下し、日本の商業レベルは下がっていくでしょう。
また、ニートはもちろん個人としての問題でもあります。
ニート生活を脱して、正規社員になるのは簡単ではありません。
門はとても狭く、中高年のニートが増加していることも問題です。
経験や職業能力のなければなおさらのこと、手をこまねいているうちに更に年齢を重ね、いっそう大きな所得格差を招きます。
各家庭においても、ニート問題は深刻です。
ニートは収入がないので、自分以外の同居者(主に両親)に経済的に依存します。
もちろん裕福な家庭においては、子どもが働かなくても充分家計が成り立つ・・・ということもあるでしょう。
しかし日本の多くの家庭では、子供がニートのまま自分が先立ったら子供の人生はどうなるのか?とても不安に感じるものだと思います。
ニート問題は家庭や日本社会の維持、発展に関わる問題です。
まずはそう認識することが第一歩となるでしょう。
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